「手をお貸ししたいところですが…

 「手をお貸ししたいところですが……」 サキカは言葉を濁した。ここで足止めされているわけにはいかない。「勿論です。こんなことを貴方様に手伝わせるわけにはいきま なことをん」 書類を拾い上げ、一枚一枚散らかった机の上で分類しながら、彼は頷いた。「もうすぐ隊長と副隊長を集めて会議を行います。あと十分くらい時間がありますが、そろそろ会議室に行こうとしていたところでした」 落ち着きを取り戻し始めた彼の言葉に、サキカはフードの下で顔をしかめた。 会議があるというのに、なぜ誰も零番隊隊長であるサキカを起こさなかったのだろうか。なんとなく原因はガイアである気がした。彼が起こすなと一言いえば、誰もサキカを起こしに来まい。「わかりました。会議室までご一緒してもよろしいでしょうか」「もちろんです」 きりがついたのか、ある程度の量の書類を一纏めにした彼は、しゃがんでいる体制から立ち上がった。「さて、行きましょうか」 机の上に置かれていた書類の束を手に取った彼は、こちらを振り返った。「はい」 頷きを返して、マスター室から退出する。彼が追いつくのを待って、サキカは彼とともに会議室へと向かった。.