" 初球。白烏の手元が少し狂い、西川の身体すれすれをストレートが襲う。西川は微動だにせず、見送った。 "

 初球。白烏の手元が少し狂い、西川の身体すれすれをストレートが襲う。西川は微動だにせず、見送った。

 二球目。同じく内角へ今度はスライダー。背中から入ってくるような変化にも道河原は反応しない。急激 fjallraven kanken backpack sale  曲がったスライダーがストライクコースをとらえる。

 三球目。内角低めへの手が出ない最高のコースへのストレート。西川は腕を畳みながらも凄まじいスイングスピードで応戦したが、バットにはかすらず、大きな音とともに滝音のミットに収まった。

 1ボール2ストライク。滝音の理想通りに追い込んだ。よし、いいぞ結人。



 伊香保もうんうんと頷いていた。その仕草を見て桔梗が少し首をひねった。



「由依、聞いていい?」



「なあに?」



「あの四番……ほんとに外角の変化球打てないの?」



「え、何で? 全く打てない訳じゃないけど、明らかに今までの全打席であのコースの変化球だけ率が悪いわ」



 なるほど……。桔梗は納得して口をきゅっと結んだ。



「あたし、男の考えてることって大体分かっちゃうんだよね。由依、それさ、全打席のデータでしょ?」



「え、……うん」



 少し勘づいたように、伊香保が不安の表情を覗かせた。



「打率……ゼロじゃないんやよね? もしかしたら、ここ最近の打率が高いとか、どうなん?」



「ごめん、私としたことが。そこまでのソートかけて……ない」