" 話はまず、休みが始まる前、テスト後へと遡る。 "

" 話はまず、休みが始まる前、テスト後へと遡る。

「おー。ツァイとエートとハル、うちのクラスで上位独占」
「4番はアルスだな。流石」
「ククルとエルマが惜しかったなあ。もう少しで5位独占… 劍橋拼音英語課程 つーか、アルスが邪魔なのか?」
「邪魔って……」
「カレナ。可哀相ですよ、それは」

ざわざわと人の話し声が満ちる階段途中の広い踊り場。
人込みから1歩離れた位置からテスト結果上位者として壁に浮き出た名前を確認した俺たちは、そんな会話を交わした。

「カレナは?」
「んー、俺はあるかどうか……あ、あった。49位だな」
「え?」

テスト上位者は50位まで発表のため、俺としては狙い通りの順位。

だがこれに、2人は同時に驚いた。

右から上位順に魔法で印された名前の左端付近に俺の名前を見付け、目を瞬く。

「カレナ……手、抜いた?」
「失礼な。俺はお前ら程優秀じゃないだけ」

かなり色々と観察し、頭を悩ませながら受けたテストの結果である。

決して手は抜いてない。
ただ目指したのが「50位ギリギリ」だったというだけだ。

結果が満足の行くものだったため、少し上機嫌になる。
これでこの学園の「1年生レベル」は理解したと言ってもいいだろう。顯赫植髮時間

まだ納得いかない様子のハルとエートには取り合わず、教室に帰らないかと提案した。

思えばこの時、もう少し時間をずらせば良かったのだと思う。
そうしたらヨミと鉢合わせすることもなかったかもしれない。

だが実際は何か用があって教室を訪れたらしいヨミと、ドア付近でばったり鉢合わせた。

基本的に魔生物学の授業以外やる気がないヨミが、昼休みに教室に居るのは珍しい。
だがまあ担任だし、不思議ではない。

だから特に何も言うことなく会釈したエートに合わせてすれ違おうとしたタイミングで、ふとヨミが俺と目を合わせた。

「ああ、カレナ」
「はい?」

ヨミに呼び止められるような心当たりは何もない。

訝しみながら、邪魔にならないようドアを過ぎてから足を止める。
エートとハルも不思議そうに、俺と同じく足を止めた。

ヨミは2人をちらりと見て、けれど特には気にせず話を始める。

「お前、長期休みはアイリールに帰るのか?」
「まだ未定ですかね、今は一応ハーゼンに家がありますし」
「家があるっつっても、お前、1人だろ?」
「あれ、よく知ってましたね」
「いやー、ミーナ先生がなぁ」

ああなるほど。
漸く意図が飲み込めて、俺は笑った。

手をひらひらと振る。"