その後幾度か剣を合わせ、隙を見て俺が魔法で反撃す
" その後幾度か剣を合わせ、隙を見て俺が魔法で反撃する。
何だかそろそろ面倒になってきたんだが、もう負けていいだろうか。
何度目か、火属性の中級魔法を水属性の中級魔法で飲み込んだ所で、ツルー 證券公司 が眉を寄せた。
心なしか、苛立ったような顔。
ツルーナは俺の魔法を避けるために取った距離をそのままに、今までとは明らかに違う構えを取った。
その態勢で、口を開く。
「……何故、闇属性を使わない?」
あ。
怒ってる。敏感肌面霜
「私如きには使う迄もない、と?」
それはツルーナが例外的に「俺が闇属性を使える」と知っているからそう感じるだけだ。
もし知らなければ、「これが実力か」と、それで終わりだったはず。
別に怒らせたいわけではないので、一応言葉を選ぶ.
「観客居る「手合せ」で切り札切るの、嫌なだけです」
「そのために負けてもか」
「だって、手合せでしょ」
勝っても負けても、「ただそれだけ」だ。
そうニュアンスに含めて、苦笑する。
ツルーナはしばし沈黙した後、抑揚のない声でぽつりと言った。
「ならば、「真剣勝負」と言うべきだったか」
どうやら手を抜かれたと感じて、かなり怒っているらしい。
俺はこの笑えない冗談に、軽く目を瞠った。
「やだな、センパイ。冗談じゃない。それなら受けませんよ」
「何故」
何故?
今度のこの疑問には、演技ではなく本気で驚いた。
こう聞くと言うことは、もしや学生と言うイキモノは、「真剣勝負」と「手合せ」の違いがわからない、と言うことか。
俺としては常識なんだが……、ああ、この世界では違うとか?
この「間」で漸く全部の氷を溶かした右腕を軽く回す。
腕自体が凍ったわけではないため問題なく動くのを確認して、剣を再び持ち変えた。
どっちも使えるとは言え、やっぱり利き腕の方が使いやすい。
こうして技を出す気満々のツルーナを迎える準備を整えてから、答えを言った。
「だって俺、センパイを殺す理由ないし」
ぴくり、と。
構えを取ったツルーナの、剣先が揺れた。
真剣勝負なら、殺るか殺られるかだ。
そんな物凄く学園から追い出されそうなこと、やる気はない。
そもそも本気を出さなくてはいけなくなる時点で、今は出来ないが。
どこから剣撃が来ても上手く負ける気で待っていた俺だが、ツルーナは構えたまま動かない。
さっきはあんなにお怒りだったから、答えればすぐにでも来ると睨んでたのに。"